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前回は、八景島シーパラダイスの敷地にある『アメリカン・アンカレッジ』の記念碑に来ました。
「アメリカン・アンカレッジ」とは「アメリカ停泊地」ということです。
で今回は、その「アメリカ停泊地」の場所を探すことにしましょう。
ここではつぎの海図を使います。
この海図は海上保安庁さんのホームページにあったものをお借りしました。
もちろん電話をして、資料の利用の確認をしましたよ。
この海図は、ペリー提督が航海を終えたあとアメリカで作られた、ということです。
ということは、ほとんど同じものを使っていたと思いますので、この海図を使います。
・・・
ペリー提督は、第1回目の訪問(来航)の時、1853年7月14日、久里浜に上陸し、アメリカ大統領の国書を日本側へ渡しました。
幕末の狂歌に、
「泰平のねむりを覚ます上喜撰(じょうきせん)たった四杯で夜も眠れず」
という有名な狂歌がありますけど、ペリー艦隊の来航は、第1回目は4隻で、第2回目が7隻だったんですね。
そして第1回目のとき、会見の終了後、ペリー提督は艦隊を江戸湾へ進めました。
Q:ペリー艦隊の停泊地の具体的な場所はどこか
資料によると、海岸から1.5海里の場所に停泊したそうです。
では、海岸から1.5海里はどのあたりかな?という疑問が湧きましたよ。
下の空中写真は、国土地理院のもので1945年ころの空中写真で、その写真に1海里を1.8kmとして、1.5海里の距離を入れました。
そうすると、小柴の海岸から2700mの場所だということがわかります。
では、なぜ停泊地を小柴沖にしたのか
ここで私、素人の見方ですけど、
なぜ、この場所に黒船が集まったかというと、
その1、水深がちょうどよく、波がおだやか。
その2、大砲の玉がとどく場所だった
と思います。
大砲の玉が届くところ、というのは大きな問題です。
ペリー提督は、結果的には一発の大砲も打たないで、すべて話し合いで外交をしたのですけど、ペリー自身が上陸するときにも、水兵のピストルには実弾をいれて、話し合いの会見場を大砲の射程に入れて、いつでも大砲が撃てる状態で、つまり臨戦状態でいたことからもわかります。
Q:ペリー艦隊は小柴の海岸からも見えたのか
で、そんなあぶなっかしい場所なんですけど、2700mの距離なら、当然ですけど海岸からは艦船のがハッキリ見れますね。
天気がいい日に、黒いデッカイ艦船がモクモクと煙を吐きながら、外輪でスイスイ進んでいたら、そりゃー腰を抜かすおばあちゃんもいたでしょう。
出典:上図は国土地理院タイルに場所等の名前や記号を追記して掲載
国土地理院ウエッブサイト
https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html
Q:ペリー提督の海図には黒船が描いてあるのか
では、ペリー提督の海図には、どのように描かれていたかといことですよね。
最初に示した海図の沖のほうに、ゴニョゴニョと何か書いてあります。
これが黒船の集団です。
上の国土地理院さんの空中写真の場所と、雰囲気はだいたい合致してます。
Q:ペリー艦隊の艦船の名前はわかるのか
海図に描かれているニョゴニョの拡大が下の図です。
錨のマークが7つあつて、それぞれ名前が書いてあります。
これは、ペリー艦隊の艦船の配置と艦船名ですね。
艦船の名前が7つということは、そうです、この海図はペリー艦隊の第2回目の来航の絵だったんですね。
大砲がいくつも見える黒船が、これだけ沖に並んだら、完全にギブアップでしょ。
そして、海図には何やら数字がバラバラと書いてあります。
これは水深ですね。
ペリー艦隊は、湾内で黒船を進めていくのに、水深を図る測量船を先に行かせていたんです。
ペリーの艦船は当時の日本の船と違って喫水が深かったので、慎重に進めないと、初めての港では座礁してしまいますからね。
・・・
ところで、長さを表現するのに、昔は尋(ひろ)という言葉を使いました。
1尋は両手を広げた長さで、だいたい1.8メートルということです。
なので、
つぎの海図にある、13尋は、約23メートルになりますね。
12尋は、約21メートルです。
下の海図では13や12の数字が散らばっていますので、だいたい海面下20メートルの浅瀬が広がっていたといことが、わかります。
下は、艦艇の配置をもう少しわかりやすくしたものです。
船の配置がよくわかりますね。
このとき、ペリー提督が乗っていた旗艦は、ポーハタン号でした。
◆空中写真と地図について◆
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。この地図を、第三者がさらに複製する場合には、国土地理院の長の承認を得なければなりません。
承認番号:平29情複、第1105号
地理院タイル一覧ページ
https://maps.gsi.go.jp/development/ichiran.html