ここはJR川崎駅。
ラゾーナ側の改札口を出た、すぐ左のはじっこです。
駅の壁には、この絵が掛かっていますよ。
この絵にある説明によると、
描いた人は、歌川広重
題名は、「東海道五十三次之内 川崎 六郷渡舟」
ということです。
いままで、ここを通るたびになんども見てはいたんですけど、今日は虫メガネ的にじっくりと見ることにしましょう。
さっきから、わたしの後ろを、通行人が「コイツじゃまだなー」という雰囲気を醸し出しながら通り過ぎていきます。
それでもカメラを構えてアッチ向いたり、こっち向いたり。
たぶん、監視カメラがわたしを映していますね。
ヘンなおじさんが、名画の前でウロウロしていますから。
で、まずは、このシーンです。
どうですか、渡し舟を待っている、のーんびりした空気感が出ています。
このなかの何人かは、大アクビしているね。
そして、少しうしろの様子をのぞいてみましょう。
朱の羽織がお似合いのこの方、これから乗る舟の代金を払っていますよ。
よく見ると、二本差しのようにも見えますね。
そして場面は、こちらになります。
9月のブログにも載せた、竿を思いっきり後ろに押している船頭さんがいます。
この船頭さんは、あれからずーっと押しっぱなしですね、おつかれさまです。
その船頭さんの後ろにも、どなたかいますよ。
ではこのお方に、ズームイン。
ほほーッ、なんと、筏のような物に乗っています。
でも、これは筏ではないですよ。
だって、この木はバラバラになっていますからね。
それで、この絵の場面を見て、思ったことをつらつら書いてみます。
その一
多摩川の筏乗りは一年中天気に関係なく、背中にはササミノを背負っていました。
そして、腰にはナタをぶら下げていたようですけど、この人は丸腰ですね。
ということで、この人は筏乗りではないです。
その二
この筏のような物、たぶん材木でしょうけど、みんなバラバラです。
筏は材木を束ねてありますからね。
その三
最初の写真の絵を見ると、遠くには富士山がありました。
ということは、江戸の六郷村から川崎宿側を見ている場面で、絵の題名どおりです。
それではここからは、以上の三つのポイントから、わたしの勝手な想像です。
今日、多摩川を下ってきた筏は、この川崎宿が終点でした。
そしてこの川淵で、筏乗りは、筏を受け取り側に渡したんです。
筏乗りたちは、給金をもらったら、さっさと川崎宿の一杯飲み屋へ行ってしまいました。
材木に乗っているこのお方は、荷受け側の鳶さんです。
今まさに、ちょっと前に到着した筏をバラバラにして、材木屋へ渡すために、まとめている真っ最中でした。
ハイ、想像はここまでです。
ところで、資料によると、川崎側の六郷橋の上流には、材木問屋がずらりと並んでいた時代があったようです。
この絵が描かれた頃も、材木問屋があったと思いたいですね。
そして、この鳶さんが活躍していたら、たのしいです。
参考:『閑話雑記 かわさき』
発行・川崎市
昭和52年
p129
●記録
月日:2022年11月17日 水曜日
時間:12時ころ
場所:JR川崎駅
距離:徒歩
船頭さんは力いっぱいです