12月18日は、横浜にある「発祥の地」をいくつか見て回りました。
いつものことですけど、歩いている時間と、写真を撮ってシゲシゲ眺めている時間が、同じくらいの散歩でした。
ではここで、「発祥の地」が描いてある古い地図を使って、いろいろコネクリ回してみます。
鉄道のわき水
最初は「鉄道のわき水」です。
つぎの地図は明治43年の横浜です。
先日の場所を “ だいたい当たっている ” というレベルで地図に追加しました。
ここに決めたキーポイントは、紅葉橋と雪見橋と桜川の位置関係です。
桜川は現在の桜川新道です。
ここで問題です。
「鉄道のわき水」はどうやって運んだのでしょうか。
二つの説があると思いますよ。
【鉄道のわき水を、樽で運ぶ説】
つぎの地図を見てください。
「鉄道のわき水」の前は路地です。
当時、この路地を、樽に水を入れて荷車でワッセワッセと運んだ場合、蒸気機関車は大量の水が必要でしょうから、たいへんな人数の作業員が必要だったのではないでしょうか。
それに大雨や冬の雪のときは、作業が鈍くなるでしょうから、あまり賢い方法ではないですね。
【鉄道のわき水を、配管で送る説】
「鉄道のわき水」の場所から、桜川を渡って線路まで直線です。
これだけ直線なら、地下に水道管を入れることは簡単にできたでしょう。
桜川では水道管を渡します。
そして水道管は、線路の脇に作った貯水樽に入れたのでしょう。
こっちの説明のほうが、合理的ですよね。
ここから使う地図で「鉄道のわき水」「ガス事業発祥の地」「灯台発祥の地」の古い地図は、明治43年のものです。
つぎは【水を配管で送る説】の追い打ち写真です。
先日の現地で撮ったものです。
わたしが立っているところは「鉄道のわき水」の場所で、向こうのビルのあたりが桜川新道です。
当時の線路は、正面のビルの先くらいです。
見てのとうり直線です。
たぶん【水を配管で送る説】が正しいでしょうね。
「鉄道のわき水」の水源はどこ
現地でおばあちゃんに聞いたところでは、「鉄道のわき水」は当時から湧き出し続けている、ということです。
では、その水源はどこかな?、と小学生の頭は考えました。
では、つぎの地図の、道路が描いてあるほうを見てください。
国土地理院さんの現在の地図です。
赤丸印は「鉄道のわき水」のところで、紅葉ケ丘という音楽堂や能楽堂があるすぐ下です。
そして同じ場所を立体図にしたものを見てください。
「鉄道のわき水」のとなりは、野毛の丘です。
野毛の丘は、標高30mもありますよ。
この丘が図の左側にも広がっています。
広い丘のすぐ下には、当然わき水も出てくるでしょう。
ということで、野毛の丘全部が「鉄道のわき水」の水源なんですよ。
蒸気機関車のための水ですから、相当な量が必要だつだということは、想像できますね。
先日見た石垣下のわき水はチョロチョロっていう流れでしたけど、当時はドバドバっていう表現になるくらいのわき水だったと思います。
ガス事業発祥の地
先日行った本町小学校は「ガス事業発祥の地」でした。
同じ場所を明治43年の地図で見ると、ここは瓦斯局です。
古い地図には、桜川にかかっている「ガス橋」という橋もありました。
小学校の授業で、先生が地元の歴史を話すときがあるでしょう。
この瓦斯局のお話も出てくるのかな。
灯台発祥の地
「灯台発祥の地」の場所ですけど、明治43年の地図には「灯台」が描いてあります。
当時は、ここで灯台守の養成をしていた、と記念碑にはありました。
灯台もあったということですけど、実際に灯台の機能をしたかはわかりません。
いまはこの場所には、ロープウェイができてます。
西消防署
横浜市のホームページを探したら、ありました。
昭和9年の地図です。
戸部警察署のとなりに、戸部消防署という表記になってます。
アレ、名前が違うゾと思って、現地で撮った写真を拡大しました。
そしたら、西消防署はいくつか呼び名が変わっていたんですね。
呼び名は変わっても「移転や統廃合をされないで、100年続いている唯一の消防署」さんでした。
●関連したもの
横浜で発祥の地めぐり 蒸気機関車の水・ガス事業・灯台・消防署
●参考資料・引用元
ブログに掲載した資料は元の情報を複製し加工してあります
「横浜市中央図書館所蔵」 改正横浜新地図 明治43年
横浜市立図書館・デジタルアーカイブ・都市横浜の記憶
https://www.lib.city.yokohama.lg.jp/Archive/
横浜市ホームページ[横浜市三千分一地形図画像(昭和初期)]
西戸部 昭和9年
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/toshikeikaku/yoko/sankou/showashoki_20-39.html
●地図について
このブログに使われている地図や空中写真の一部は、国土地理院発行の電子地形図(タイル)または、地理院撮影の空中写真を複製し、自転車走行軌跡等を追加加工したものです。国土地理院:https://maps.gsi.go.jp/