埼玉県は深谷市にいます。
そしてここは、二つの洋館がある公民館の入口です。
今回はここの建物をじっくりと見ますよ。
目次の項目は記事へリンクしてます。
『誠之堂』
“せいしどう”と読みます。
この建物、大正5年、渋沢栄一の77歳の記念に建てられたということです。
国指定重要文化財になってます。
こじんまりとした建物で、「西洋風の田舎屋」という雰囲気で設計したそうですけど、ところどころに中華風や和風の感じが出ていますよ。
設計は田辺淳吉(たなべじゅんきち)
当時の清水組、現在の清水建設の技師長だった人です。
見てください、風見鶏が東西南北になってますね。
で、この外壁のレンガですけど、横組みのところどころが、いくぶんか出っ張ってます。
何気ないデザインですね。
そしてその下の砂利石ですけど、砂紋になってます。
観光地の有名なお寺の庭にある、あの砂で作った波紋ですね。
じつは、この場所だけではなくて、この洋館を囲んだ敷地全部に砂利石が敷いてあって、全部が砂紋になってます。
ここに来て受付を済ませて、管理の方に案内されてこの敷地に入ったとき、あまりきれいなので、
「ここ歩いていいんですか」と聞いてしまいましたよ。
「もちろんいいですよ」ということで、安心しました。
この日は、わたしが最初の訪問者だったのでしょうね。
別の角度からの一枚。
では、案内されてなかに入ります。
ここが玄関ですね。
ここも全部レンガ。
ズッシリとしたドアノブを回して、中へ。
誠之堂のなかです。
ここは会議などに使っていたそうで、テーブルとイスはそのまま残ってます。
いちばん手前のイスに、当時、銀行の頭取だった渋沢栄一が座ったそうです。
神様みたいな存在の渋沢栄一が、このイスにどっかりと座って、会議の話を聞いているんですから、行員たちは怖かったでしょうね。
部屋の色調は、レンガ色に合わせた、すこーし全体に赤い色の調子を出してます。
天井の漆喰にも手が入ってますよ。
ステンドグラスも特注で、窓ごとにあるステンドグラスには、それぞれに物語があるということでした。
『清風亭』
“せいふうてい”と読みます。
さっきの誠之堂の隣りにあって、また違った雰囲気の建物でしょ。
清風亭は、大正15年、当時の第一銀行頭取だった、佐々木雄之助(ささきゆうのすけ)の古希を記念して建てたということです。
埼玉県指定有形文化財になってます。
ちなみに設計は、西村好時(にしむらよしとき)
当時、銀行建築設計の第一人者といわれた人でして、さっきの誠之堂を設計した田辺淳吉(たなべじゅんきち)の弟子にあたる人です。
そして感心するというのか驚くのは、この二つの建物は、どちらも銀行員たちの出資だけで作ったということです。
なんたることか・・・
ま、それはともかく、どうですかこの雰囲気、いいでしょ。
この日は晴天、青い空に白い壁が映えますね。
(コンパクトカメラでも、ここまで撮れますよ)
洋館好きな人ならこの感じわかりますよね、スペイン風なんです。
屋根瓦とまあるいアーチがその感じを出してますね。
こちらもズッシリとしたドアノブを回します。
で、こちらがその清風亭のなかです。
天井から壁、そして床と家具と、全部が一つになって、高級な雰囲気をだしてますね。
全体のアレンジがすばらしいです。
残念ですけど、わたしのカメラでは天井の色が出せませんでした。
白ではありませんよ、すこーしクリーム色が入ってます。
全体の調和を考えて、白では浮いてしまうので、避けたのでしょうね。
そしてこの壁ですけど、多分ですけど、なんとなく緑が入ってますね。
そして、案内の方から「どうぞ座ってみてください」といわれたので、厚かましく座らせてもらいました。
ウーン、この重厚感、気分は大銀行の役員ですね。
誠之堂の建設が大正5年で、この清風亭が大正15年。
二人の設計者は、子弟関係だったということから、弟子は師匠の作品とはデザインが被らないようにしながら、自分らしさを出して、しかも品のいいものにしようとしたということが、この場所にいるとわかります。
二つの洋館を色で表現すると、ベタな表現になりますけど誠之堂はレンガ色で、この清風亭はかなり濃いクリーム色、という感じがしました。
そしてここは電話ボックスではありません、トイレです。
当時のトイレが、外観だけですけど残ってます。
すごいでしょ。
この衝立は、硯石でできているそうです。
なんとも贅沢。
ここに到着して、誠之堂と清風亭の二つの見学は、受付で約20分くらいですよといわれて、では見ましょうということになって、結局は1時間見てました。
その間、わたし以外の見学者はありません。
砂紋がしっかり残っている砂利石の上を歩きましたよ。
いやー、いいものを見させてもらいました。
そんな場所から、またまたポタポタしてこんな建物を発見。
郵便局ですけと、この建物もレンガの雰囲気を出してます。
そしてこちらは、医院さん。
このレンガの建物には、しっかりと風見鶏があります。
東西南北ではなくて、NSWEですね。
JR深谷駅
で、本日の着地点に来ました。
東京駅ではありませんよ、JR深谷駅です。
でも、どうみても東京駅ですね。
こちらの写真は、駅前ロータリーからの一枚です。
この駅舎は線路を股ぐように建ててあるので、この位置からだと、駅舎の横顔ということになるのでしょうかね。
凝ったつくりでしょ。
そして駅舎の後ろ側です。
こっちも手を抜かないで、しっかりと「東京駅してます」
で、この位置からの写真が、駅舎の正面になると思います。
駅舎に向かって、斜め右からです。
こちらは、まさに駅舎の正面ですね。
でこちらは、斜め左からの写真。
ほんとによくできてます。
ふと素朴に、なんでこんな駅舎にしたのだろう?
という疑問が、写真を撮っていて湧いてきました。
なんで?
たぶんですけど、
深谷市はレンガの生産が盛んな町だった。
↓
深谷の駅舎を改築するときに、名産の(?)レンガを使ってできないか、という思いがあった
↓
そして、あーでもない、こーでもないと、いろいろとデザインしていたら、なんとなく東京駅に似てしまった。
というか、あえて東京駅に似せてしまった。
というのが、当たっているのかなーと、勝手に想像してしまいました。
で、東京駅によく似た深谷駅で写真を撮りまくっていて、疲れたのでコーヒーでも飲もうと、ふと見たら・・・
なんでかレンガ色の建物の店に吸い寄せられてしまった、わたしでした。
※上図は国土地理院タイルに場所等の名前や記号を追記して掲載
月日:2018年11月3日土曜日
時間:9時~16時
場所:埼玉県・本庄、深谷
距離:22Km
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このブログに使われいてる地図や空中写真の一部は、国土地理院発行の電子地形図「タイル」、陰影地形図「アナグリフ」、空中写真などを複製し、自転車走行軌跡や記号等を追加して掲載してます。
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